爬虫類を飼育する上で、最も注意すべき病気の一つがクル病です。別名ラチット症とも呼ばれ、カルシウムとビタミンD3の不足によって骨が軟化してしまう代謝性骨疾患です。
本記事では、クル病の原因と症状、そして予防・治療法について詳しく解説します。愛する爬虫類の健康を守るために、ぜひ参考にしてください。

この記事は以下のような人におすすめ
・「ペットのクル病を予防したい人」
・「ペットの体調が悪く、クル病の症状に当てはまるか気になる人」
クル病の症状
クル病の症状は進行度によって異なりますが、主な症状は以下の通りです。
初期症状
- 食欲不振
- 動きが鈍くなる
- 脱力感
- 口をパクパクする
中期症状
- 骨の軟化
- 歩行困難
- 肢の変形
- 口が開けづらい
- 目を瞑っている時間が増える
重症症状
- 骨折
- けいれん
- 脱水症状
- 死亡
これらの症状がみられた場合は、すぐに動物病院を受診することが大切です。
クル病の原因
クル病は、主に以下の2つの原因によって引き起こされます。
カルシウム不足
爬虫類にとってカルシウムは、骨や歯の形成に不可欠なミネラルです。食事から十分なカルシウムを摂取できない場合、体内のカルシウムが不足し、クル病を発症するリスクが高まります。
カルシウム不足の原因
カルシウム不足に陥る原因は以下のような要因が考えられます。
- カルシウム含有量が少ない餌を与えている
- 餌にカルシウムパウダーを添加していない
- 紫外線ライトが不足している (ビタミンD3生成に必要)
基本的に爬虫類の餌として与えるような野菜や昆虫は、そのままではカルシウムが足りていません。ダスティングといって餌にカルシウム剤をかけてあげることが必要になります。
ビタミンD3不足
ビタミンD3は、腸管からのカルシウム吸収を促進する役割を担っています。紫外線の UVB 照射によって体内で生成されるため、日光浴不足や紫外線ライト不足が原因でビタミンD3が不足すると、クル病を発症しやすくなります。
ビタミンD3不足の原因
- 紫外線ライトを設置していない
- 紫外線ライトの種類や出力が不適切
- 紫外線ライトの距離が遠すぎる
- 紫外線ライトの経年劣化
- 日光浴の機会が少ない
紫外線ライトは半年~1年という使用期限があります。ライトがついていますが、紫外線が出ていないこともありますので、適度な期間に交換するようにしましょう。
夜行性のヒョウモントカゲモドキやクレステッドゲッコーなどの爬虫類には、紫外線ライトは不要とされております。部屋に差し込むような紫外線でも問題ないといわれる人もいますが、週1回程度は餌にビタミンD3を補う栄養剤を振りかけて給餌するようにしましょう。
クル病の予防と治療法
クル病は、適切な飼育環境や給餌の際の工夫で予防することができます。
予防策
カルシウムとビタミンD3を十分に摂取できる餌を与える
- カルシウム含有量の高い餌を選ぶ
- 餌にカルシウムパウダーを添加する
私は毎回餌に以下の『マルベリーCa(カルシウム)』を振りかけて給餌しています。
1~2週間に1回は、以下のビタミンD3が配合されたカルシウム剤を振りかけて給餌しています。
適切な紫外線ライトを設置する
- UVB 照射可能な紫外線ライトを選ぶ
- 紫外線ライトの距離と出力を適切に調整する
- 紫外線ライトは定期的に交換する
日光浴の機会を設ける
- 週に数回、安全な場所で日光浴させる
治療法
クル病を発症してしまった場合は、動物病院で適切な治療を受ける必要があります。治療法としては、以下のものがあります。
- カルシウムとビタミンD3の注射
- カルシウムサプリメントの投与
- 紫外線ライトの照射
- 運動制限
- 手術
治療期間は症状の程度によって異なりますが、数ヶ月から数年かかる場合もあります。
クル病の生体の立ち上げ成功体験と失敗談
私が某有名チェーン店の爬虫類ショップで購入したヒョウモントカゲモドキとヒガシヘルマンリクガメはクル病でした。
私の経験について書かせていただきます。
ヒョウモントカゲモドキ
某有名チェーンの爬虫類ショップでは、ヒョウモントカゲモドキはブリーダーラックにプラスチック製の棚で売られておりました。お店の窓と垂直に棚が置かれており、日光や蛍光灯の光が入らないようになっていました。
50匹以上いるため、しっかりダスティングされた餌をもらえていなかったのか、購入時は気が付きませんでしたが帰りの車で口をパクパクさせていることに気が付きました。
幸いクル病の初期段階だったため、ダスティングした餌を給餌し1か月ほどで口をパクパクすることもなくなりました。
今では元気にスクスク育っており、特に骨の変形等もありませんでした。


ヒガシヘルマンリクガメ
某有名チェーンの爬虫類ショップで購入しました。※ヒョウモントカゲモドキを購入した店舗と同じです。
入荷してすぐ店頭に並んでいました。ショップでは、紫外線ライトが使用されていませんでした。必要に応じて日光浴させているようでしたが、それも本当かどうか。。。
購入した直後に目を瞑ることが多く、移動や環境の変化によるストレスだろうと最初は様子を見ていましたが、活動時間が短くなり、だんだんと食欲がなくなっていきました。
最初の3日程度は餌を食べましたが、それ以降は目を開けなくなる時間も増え、餌を食べる際も完全に嗅覚頼みになっていました。
おそらく体調不良のきっかけはビタミンA不足からくる目の病気だと思いますが、クル病も併発しており食欲がなくなるため食べ物からカルシウムが取れなくなります。
ビタミン剤やペット用目薬等で処置をしていましたが、改善せず。
最終的には家にお迎えしてから1か月で亡くなってしまいました。

まとめ
クル病は、適切な飼育環境を整えることや給餌の工夫で予防できる病気です。愛する爬虫類の健康を守るために、カルシウムとビタミンD3の摂取、紫外線ライトの設置、日光浴など、予防策をしっかりと講じましょう。
もしクル病の症状がみられた場合は、すぐに動物病院を受診し、適切な治療を受けさせてください。
動物病院の探し方についての記事もいかに載せておきます。
https://exotic-reptile.com/253/最後まで読んでいただき、ありがとうございました。